こっそり料理してる事がバレて、ガイコツ王子と政略結婚させられました。あれれ?私の料理でふっくらされたら、普通にかっこいい???

8 欲しいもの

んー…
そう言われも…

ん?
そういえば1つだけ欲しいものがあったわ!

「ガイ…じゃ無い…!
シャルナーク様…!

1つだけ欲しいものがございますわ。」

「何だ!?
申してみよ!」

「それは…

《《卵焼き器》》でございます!」

「卵…焼き…器…???

卵を焼くのか?
フライパンじゃダメなのか?」

ガイコツ王子は言う。

そう、この世界の卵焼きと言えば、目玉焼きかスクランブルエッグか、オムレツ。
もちろん、フライパンで充分だと考えられていた。

しかぁぁぁし!
私が作るのは、スクランブルエッグでも目玉焼きでも、オムレツでもなく卵焼きなのだ!

もちろん、私にはフライパンで卵焼きを作る技術もある。

だが、どうしても時間のロスな気がしていたのだ。

「卵焼き器と言われても…?
一体どんなものなのだ?」

「はいはい!
今絵に描きますので、少々お待ちください!」

私は張り切って絵に描いた。

ラテアートもやっていた為絵心はある。

「なるほど、ふむふむ。
鉄製か?」

「えぇ、鉄でございますね。
フライパンの一種ですが、形が四角にございます。」

「うーん、よく分からないが、それでそなたが喜ぶのなら…」

ガイコツ王子は言う。

「喜んますわ!
ありがとうございます!」

私は笑顔で言った。

「ん?何か甘い匂いが…」

ガイコツ王子は青白い鼻をクンクンと言わせる。

「あぁ、フレンチトーストの残りがありますわよ。
お食べになります?」

「あぁ、すっかり朝食を忘れて来てしまった。
いただこうか。」

ガイコツ王子はフレンチトーストを美味しい美味しいと言ってペロリと平らげた。

「食後のハーブティーはいかがですか?」

「あぁ、少しスッキリしたいと思っていたところだ。
いただこう。」

「ペパーミントティーですわ。
どうぞ。
清涼感が特徴ですわよ。
口の中がスッキリしましてよ。」

ガイコツ王子に慣れて来たナタリーがペパーミントティーを注ぐ。

「うむ、美味い!
フレンチトーストの少しくどい味を洗い流していくようだ…」

そうして、少しおしゃべりした後、ガイコツ王子は政務があると言って本城に帰っていった。

「ねぇ、ナタリー?
ガイコツ王子は政務なんて担っているの?」

「それはもちろん、そうですわよ!
ご存知ありませんのね!
外政のザルトハック様、内政のシャルナーク様、と言ってあの2人はみんなから崇められる存在ですのよ!」

へぇ…
意外だわ。
ガイコツ王子にそんな特技があったなんて…

私は感心して、昼のパスタを作り始める。
今日は和風の気分だから、わさび醤油パスタ、なぁんて良いかもしれないわね。
広いキッチンでるんるんで料理する私。
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