【完結】最強魔導士様に嫁ぎました

20 訳が分からない

sideロロドロア

ムカつく女だ!
俺の部下までたらし込んで!

しかし…

その為に来たのか…?

いや、多分違うだろう。

では何故?

???

俺には訳がわからなかった。
彼女と結婚してから(まだ挙式はあげてないが)、訳がわから無いことばかりだ。

初めての経験。
初めての感情。
初めての気持ち。

全く、冷酷魔導士と呼ばれる俺が酷いザマだ…

でも、今までで一番人間らしいかもしれない。

そんな事を思っていると…

「おい、ロロドよ。
何やら、ニヤけているところ悪いがな。」

ゼンスさんが唐突に部屋に入ってきた。

「べ、べ、別にニヤけてなど…!」

「それは置いておいて。
サラナ嬢が、シェリエ嬢、つまりお前さんの奥方を訴える、と言って騒いでおられるそうだぞ?」

ゼンスさんはそう言った。

はぁぁぁあ…
一難去ってまた一難、という訳か。

「俺がサラナ嬢のお相手をしましょう。」

俺はかなり面倒くさかったが、そう言った。
訴える、と言っているものを、放置はできないだろう。

「そうか。
じゃ、この部屋にお通しするぞ。」

♦︎

「どうぞ、おかけになって下さい。」

俺は礼儀正しく言った。

「いいえ、結構ですわ。
革のソファかミンクのソファしか肌に合いませんの。」

サラナ嬢は言う。

あぁ、そうですか…
まだ、シェリエの世間知らずが可愛く思えた。
いやそうでなくても彼女は可愛いのだが。

「それで。
訴訟を起こされるとか。」

「もちろんですわ。
貴族の、ライザリア家のご令嬢を殺そうとしたんですもの!
きっちりと賠償金を払っていただきますわ!
それとも?
投獄されるかもねぇ?」

サラナ嬢は歪んだ笑顔で言う。

「訴えるとおっしゃっていますが…
シェリエが何をしたのでしょうか?
俺には覚えが全くありません。」

「なっ!
私の馬車に火を放ったじゃあないの!」

「は?
その外傷はありますか?
あぁ、火で偽装しようとしても無駄ですよ。
魔法の炎の傷は特殊なんですよ。」

「なっ…
しょ、証人が居ますわ!!!
きっと、あの時歩いていた人とか!」

「へぇ。
俺が周囲に聞き込みしたところ、あの時刻は何も起きてなかったと、みな証言していますがねぇ?」

「そ、そ、そんな事無いわ!」

「では、せめて証人を連れて来てください。
そして、証拠も提示しないといけませんよね。
馬車に傷も無し、あなたに怪我も無し、それで訴えが通りますか?
ない頭で考え直した方がよろしいかと…
ライザリア家に泥を塗ることになりかねませんよ。」

サラナ嬢は怒り狂い、ドレスを引きずってドスドスと帰って行った。
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