【完結】最強魔導士様に嫁ぎました

39 不甲斐なさに

sideロロドロア

2番手のウェディングドレスを買ったシェリエを見て、俺は心底自分の不甲斐なさに辟易とした。

最強魔導士が何だと言うんだ?
好きな人にウェディングドレス1着買ってあげられ無いではないか…?

俺には以前から、伯爵になる気はないか?と皇帝陛下から話が来て居た。
それは、俺が最強の力を有しており、国外に逃したくない事に起因しているだろう。
断り続けていたが…

シェリエにこれ以上貧乏暮らしをさせたくは無かった…

舞踏会も晩餐会も夜会も、彼女が望むなら、あの堅苦しく面白くも無いパーティーに出ても良い。
いつのまにかそれくらいに彼女に惚れていた。

「素敵なウェディングドレスが買えましたわ。
ありがとうございます。」

「いや…
悪かった。
俺が不甲斐ないばかりに。
だが…
サラナ嬢のどんな嫌がらせも、君の美しさを損なう事は出来ないだろう。」

俺はそう言って彼女の額にそっと口づけた。
火球は飛んでは来なかった。 

「…さぁ、事件現場に参りましょう!」

「…あぁ!」

そして、事件現場に向かった。

「相変わらず転移魔法の痕跡があるな…」

俺は言う。

「えぇ、ありますわね。
でも、向こう側から切られているみたい…」

シェリエも頷いた。

俺は転移の時空の狭間に腕を入れた。

「ロロドロア様!
危険ですわ!」

「問題ない。

!?」

俺は僅かに驚いた。

「どうなさいましたの?」

「いいや、何でも無い。
やはり、向こうから切られているようだ。
帰ろうか。」

そう言って誤魔化したものの、俺は…
ある事に気づいてしまった…
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