【完結】最強魔導士様に嫁ぎました

42 トゲトゲしい雰囲気

sideシェリエ

その日、結婚式の招待状を書いた。

日時は12月31日の午後1時から。
エドヴァ城での教会での挙式の後、2階のホールを貸し切って披露宴舞踏会が開かれる。

しかし、私が書いているのはロロドロア様の招待客ばかりだった。
なぜか、彼の招待客には、自国や隣国の侯爵や伯爵なども含まれて居た。

???

一介の魔導士でしか無いロロドロア様の結婚式に、なぜこうも豪勢なメンバーが揃うのか?
その時の私はクエスチョンマークでいっぱいだった。

とにかく、招待状を書き終わった所で、ロロドロア様が帰ってこられた。

「お、おかえりなさい。
早かったのですね…!」

つい、色々と意識してしまう。

「あぁ、早くて悪いね。」

「何も言っていませんわ。」

「そうか?」 

何故かトケトゲしい雰囲気の中、私たちはリビングでお茶を飲んだ。

「血液検査の結果だが…」

ロロドロア様が言いたくなさそうに切り出した。

「まぁ、どうでしたの!?」

私は少し身を乗り出した。
それを見てロロドロア様はさらに嫌そうな顔をして続ける。

「異常は無かったよ。
つまり、君の探偵の勘は外れていた事になるな。」

「そうですの。
それはそうと、嫌味っぽい言い方ですわね。」

「君は旦那の俺を労う事より、事件の方が興味があるようだ。
夫としては面白くない。」

ロロドロア様はキッパリとそう言った。

「あ、あら、そんな事…!」

無いとは言えない…

「結婚式では誓いのキスがある。
火球を飛ばして式場を燃やさないでくれたらそれで良い。」

ロロドロア様はお茶を残して自室に入ってしまわれた。

わ、分かってるわ!
ち、誓いのキスくらい!
なによ!

3秒で終わるわよ!!!

私は冷たいロロドロア様に少なからずショックを受けていた。

もう、私のこと好きじゃないんですの…?

10年待つ、と言ったばかりで…

その日の夕食は別々に食べた。
pagetop