【完結】最強魔導士様に嫁ぎました

49 アクシデント

sideサラナ

その時、「きゃー!老婦人が倒れられたわ!」という叫び声が上がった。

ふふふ…

そのアクシデントの老婦人は私の仕込んだサクラだった。

そ・こ・で!
治癒魔法が使える私の出番、という訳♡

「誰か!
お医者さまを!」

飛び交う人々の声。

「その必要はありませんわ!」

私は老婦人の元に向かって行き、みんなに聞こえる声でそう言った。

「ライザリア家の治癒魔法使い、サラナですわ。
少しみなさん、おどきになって。

さぁ、今から治癒しますわよ!」

私は相変わらず大きな声でそう言った。

そして、老婦人に手をかざす。

すると…

もちろん、サクラの老婦人はむくりと起き上がった。

「まぁ、すごいわ。」
「あれが噂に聞く治癒魔法ね?」
「シェリエ様は治癒の才能が無かっ…」
「しっ!
ロロドロア様が聞いてらっしゃるわ!」
「まぁ、しかし、大したものだ。」

私に次第に拍手が起きる。

あぁ、なーんて、快感なの!

これで、あの女は泣き崩れるに違いないわ!

もう、舞踏会は私が主役よ!

私の周りには人だかりが出来る。

私は青い顔をして居るシェリエの元に駆け寄り言った。

「まぁ、お姉様!
ごめんなさいねぇ!
お姉様の結婚式なのに目立ってしまって!

でも、お姉様は治癒魔法が使えませんしぃ…?
あの老婦人を助ける為ですもの、ねぇ?」

私は意地悪くそう言った。

しかし…

「私は…
治癒魔法が使えなくても…
ライザリア家から勘当されても…

今が一番幸せですわ。

サラナ、あなたにはわからないでしょうけど。」

なんですって!?
今が一番幸せ!?
そんなはず無いわ!!!

許せない…
許さない…

あなたは不幸じゃなくちゃ、ダメなのよ!!!
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