最強魔導士様に嫁ぎました

7 惨めだった…

sideシェリエ

私はロロドロア様の広く鍛え上げられた胸に抱きしめられて居た。

な…んで?
でも、それは、涙を隠すにはちょうどよく、私は彼を振り解け無かった。
泣いてるのに、気づかれたくない。

それだけのはずだった。

だけど、彼の腕の中は暖かで、それまで知らなかった人のぬくもりを教えてくれた。

しばらく経ち…
私は言った。

「あの…
どうして抱きしめて…?」

「あなたが泣きそうだからだろう?」

そんなことも分からないのか。という様な口調にやっぱり嫌いだと思ってしまう。

「もう…
大丈夫ですわ。
そ、それに!
泣いてませんもの!」

私は精一杯の強がりを言った。
多分目は赤くなっているだろうけれど…

「そうか…
あんたがそう言うなら、そうなんだろう。」

ロロドロア様は私を離し、それ以上の事を聞かなかった。

惨めだった。

社交界の華だった。
この国の宝石だとまで言われていた。
ライザリア家時期当主だった。

全てが変わってしまった。
あっけないほどに…

許せなかった。

私を蔑んだ父と母が。
私を追い詰めた妹が。
あのライザリア家が。

「…リエ。
シェリエ。

教えるから、一緒に作らないか?」

「え、えぇ、そうですわね。」

出来るならば、あの家族に復讐したかった。
でも…
そんな力も今の私には無いだろう…

ロロドロア様はただの魔導士団副団長だ。

それだけの(ひと)だと、その時の私はそう思って居た。

彼がその気になれば、一国を滅ぼすことなど訳はないと、知る由も無かったのだ。
当たり前だ。

"能ある鷹は爪を隠す"のだ。
pagetop