バッカスの女神様はオトコを知らない
「何を言われても、一度持ち帰るということで、お願いします。
ひとすじ縄ではいかない相手で、つけこまれるとやっかいと聞いていますから」
「ええ、ええ、もちろんですわ。そうします。慎重に進めなければいけませんわ」
院長は今度は赤くなり、焦って答えた。
弁護士はシートベルトを外すと、かばんを手に取り車を降りた。
海風が入り込む。
知らない香りだ。
デラシアは目を閉じて、潮の香りを思いっきり吸い込んだ。
海は・・・かもめの声が響き合い、地平線に船の影が見える。
どこかの遠い国、顔の知らない父か母とつながる海。
ひとすじ縄ではいかない相手で、つけこまれるとやっかいと聞いていますから」
「ええ、ええ、もちろんですわ。そうします。慎重に進めなければいけませんわ」
院長は今度は赤くなり、焦って答えた。
弁護士はシートベルトを外すと、かばんを手に取り車を降りた。
海風が入り込む。
知らない香りだ。
デラシアは目を閉じて、潮の香りを思いっきり吸い込んだ。
海は・・・かもめの声が響き合い、地平線に船の影が見える。
どこかの遠い国、顔の知らない父か母とつながる海。