バッカスの女神様はオトコを知らない
ダニエル・・・ダニエル書。

聖書では、預言者ダニエルが信仰を貫いたために、ライオンのいる洞窟に投げ込まれたのだが、目の前のダニエルはライオンと戦いそうだ。

「酒の輸出入が忙しくてね。イタリアだけでなく、世界中を飛び回っていますよ」

ダニエル・レガートは明らかに、修道院の面子(めんつ)を格下に見ている。

聖職者の前で葉巻に火をつけて、大きく煙を吐いた。

「私はある国の高貴な女性たちの間で、おたくの修道院の薬草リキュールの評判を聞きました。
とてもよい酒だと」

院長はほめられて、単純にうれしそうに顔をほころばせた。

「私は色々な酒を扱いますが、この修道院ブランドの酒が欲しいと思っていてね。
女性受けもいいし、体に良いというのもアピールポイントになる」

ダニエルは側に控えていた秘書兼ボディガードらしき若い男に、指で合図をした。

「時間がないので、すぐに話を進めましょう」


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