バッカスの女神様はオトコを知らない
躊躇なく、喉笛に食らいつく気がみなぎっている

「私は修道院の薬草リキュールを、とても気に入っているのですよ。
どうしても、手にいれたいと考えています」

ダニエルはにっこりと笑った。

「そうですね。どんな手段を使ってでもね」

その言葉に、弁護士は首をすくめ、院長は息を詰めて口に手をあてた。

その張り詰めた空気の中・・・院長の後ろに控えていたデラシアの声が響いた。

「院長先生、お断りされたらいかがですか?
レガートさんは、お酒の管理をよくご存じないようですから」

バァーーーン

ダニエルは立ち上がり、座っていた椅子を蹴っ飛ばし、机の前で仁王立ちになった。

「はぁ!!!なんだとぉ!!」

その深い青がデラシアを捉えた。

「おいっ!お前か・・こっちに出て来い!!」

デラシアは小さくため息をつき、机の前まで進み出た。

弁護士と院長は固まったまま、その様子を見ているだけだ。

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