バッカスの女神様はオトコを知らない
「おいっ、小娘!!うちの商品にいちゃもんをつけるのかっ?」

デラシアは、怒るダニエルを横目に

「院長先生、帰りましょう。今日はご挨拶だけというお話でしたよね。
これ以上お話しても、時間の無駄かと」

ダニエルの目配せに、秘書がすいっと、懐に手を入れながら扉の前に立った。

「ふーーん、時間の無駄だとぉ?
ここまで言われて「はいそうですか」と、帰せねーな」

明日にはデラシアも院長も弁護士も・・・海の底かもしれない。

そのダニエルの迫力に、院長が震える声で懇願した。

「申し訳ありません。ローズベリー、レガートさんに謝ってください。失礼な事を言って」

「ええ、でも、このまま瓶詰するのなら・・不良品がいっぱいでてしまいますよ」

デラシアが「余計な事を言ってしまった」という表情を一瞬したが、続けた。

せっかくの酒を、捨てるような事は絶対にしたくない。

デラシアの矜持だ。

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