バッカスの女神様はオトコを知らない
「納品の樽は、倉庫にいくつあるのですか?」

デラシアの質問に、ダニエルはさらに眉間にしわをよせた。

小娘になめられている!!そう感じたからだ。

「マークス、今日はいくつ入れた?」

「ブランデーが50です」
マークスが即答した。

「不良品の樽を・・・見つければいいですか?」

デラシアは、大切な酒のためなら手間暇を惜しんではならないと教えられてきた。

原料のぶどう、ハーブ、スパイス、すべてが神の恩寵だ。

れゆえ、注意深く、丁寧に、祈りを込めて造りなさいと。

「どうやってっ?」

ダニエルとマークスが同時に叫んだ。

「私が・・・試飲をやります。
それで、終わったら・・・帰っていいですか?」

夜の祈りの時間がせまっている・・祭壇のろうそくの火をつけねばならない。

デラシアは、頭の中で次の段取りを考えていた。

その突拍子もない提案に、ダニエルは面白そうな顔をした。
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