バッカスの女神様はオトコを知らない
<酒蔵の試験>

倉庫は地下室にあり、うす暗い。

数人の男たちが樽にチョークで数字を書きこみ、別の男たちが長い板材を渡して、簡易テーブルを設置していた。

「グラスに、樽番号をテープで貼ってあるものから、酒をそれぞれ1/3ほど注げ」

マークスが男たちに指示をした。

倉庫の隅にはデラシア、弁護士、院長が丸椅子に座り、両脇には屈強そうな男が立った。

縛られていないだけましなのだろう。

大きな肘掛け椅子が運ばれ、そこにダニエルが足を組んでふんぞり返った。

これから面白い見世物が始まる、期待をにじませているように口角を上げている。

テーブルに、50個の琥珀色の液体の入ったグラスが列をなして並ぶと

「あと、吐き出し用のバケツを持ってこい」

マークスが部下に指示をした時、デラシアが立ち上がった。

「そんなの必要ないです。もったいない。
お酒を無駄にすることは、神様への冒涜に等しい行為です」

マークスがじろりとにらんだ。
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