バッカスの女神様はオトコを知らない
「まぁ・・飲めないレベルではないので・・・でも売り物にはなりませんね」

そのグラスは遠くに置かれた。

「17番・問題なしです」

同じ手順の繰り返しだが・・・

泥酔して意識がぶっとんでいるくらいの酒が入っている。

「18番・・・水増しですか。薄い感じがします」

いつの間にかダニエルの姿勢が前傾になり、デラシアを凝視している。

このゲームの旗色が悪い、と感じているのだろうか。

「50番、問題なしです。これで終了ですね」

デラシアはハンカチで口をぬぐい、静かに言った。

「社長、製造元の方を確認します。あと樽の検査をもう一度やります」

マークスは紙ばさみを抱え、すぐに地下室から出ていった。

ダニエルは化け物を見るように、デラシアを見た。

「なぜ・・・そんなに酒が飲めるんだ?
普通ならぶっ倒れていてもおかしくない。
そもそも、その量を飲めないだろう」

< 23 / 74 >

この作品をシェア

pagetop