バッカスの女神様はオトコを知らない
「体質・・・ですかね?お酒に強いタイプです」

デラシアはストンと元の丸椅子に座ったが、顔色も動作もまったく変化がない。

修道院長が、慌てて補足説明をした。

「ローズベリーは幼い頃からお酒が飲めて・・・しかも酔っ払わないのです。
私たちも心配してお医者様に見せましたが、全く異常がないとの所見でした」

「酔っ払わないので・・・何も楽しくはないですけど」

飲酒はあくまでも仕事だと、言いたかったのだ。

「ほう・・・それはすごい舌と体を持っているのだな」

ダニエルが目を細めて、珍獣を見るように眺めた。

「お酒を大切に扱わねばなりません。神様からの贈り物ですから」

デラシアの指が、胸に下がる十字架に触れた。

バタバタと、地上で足音が騒がしい。

マークスが、階段を駆け下りて来た。

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