バッカスの女神様はオトコを知らない
「社長!!調べさせましたが、16番は確かに樽が痛んだ箇所がありました。
それでテイスターを呼んで、確認させましたが、わずかにカビ臭がすると言っています。
あと2番と18番の樽ですが、水増し疑惑があります。
納品業者が違うので、明日、もう一度、製造元に確認しますが、よろしいですね」
マークスの声が、怒りの色合いを帯びた。
「ああ、不正は許されないな。特に俺のテリトリーでは裏切り者は許さない」
ダニエルが立ち上がった。
「さて、院長殿、今日はお帰りください」
「その・・契約で共同経営の件は・・・」
弁護士がダニエルの顔色を伺うように、聞くと
「水増し疑惑の結果は明日になるが・・・共同経営の方向でいいだろう」
それからデラシアを見た。
「シスター、礼を言う。もう少しで不良品をつかまされるところだった」
デラシアはうなずいて、
「それでは寄付をお願いします。修道院は今、とても困っていますので」
「ローズベリー!!こんな場所で!そのお話は後で」
院長は白目をむいたが、デラシアは無視して頭を下げた。
「ふふふ、面白いシスターだな。わかった。寄付もしよう。
近いうちに俺の方で書類を持って、修道院のほうに伺おう」
ダニエルは立ち上がり、軽く上着の埃を払ってから、地上に出る階段を上がっていった。
聖書のダニエルは、頭脳明晰で容姿の優れた若者とされている・・・
デラシアは、その広い背中を見送りながら目を細めた。
それでテイスターを呼んで、確認させましたが、わずかにカビ臭がすると言っています。
あと2番と18番の樽ですが、水増し疑惑があります。
納品業者が違うので、明日、もう一度、製造元に確認しますが、よろしいですね」
マークスの声が、怒りの色合いを帯びた。
「ああ、不正は許されないな。特に俺のテリトリーでは裏切り者は許さない」
ダニエルが立ち上がった。
「さて、院長殿、今日はお帰りください」
「その・・契約で共同経営の件は・・・」
弁護士がダニエルの顔色を伺うように、聞くと
「水増し疑惑の結果は明日になるが・・・共同経営の方向でいいだろう」
それからデラシアを見た。
「シスター、礼を言う。もう少しで不良品をつかまされるところだった」
デラシアはうなずいて、
「それでは寄付をお願いします。修道院は今、とても困っていますので」
「ローズベリー!!こんな場所で!そのお話は後で」
院長は白目をむいたが、デラシアは無視して頭を下げた。
「ふふふ、面白いシスターだな。わかった。寄付もしよう。
近いうちに俺の方で書類を持って、修道院のほうに伺おう」
ダニエルは立ち上がり、軽く上着の埃を払ってから、地上に出る階段を上がっていった。
聖書のダニエルは、頭脳明晰で容姿の優れた若者とされている・・・
デラシアは、その広い背中を見送りながら目を細めた。