バッカスの女神様はオトコを知らない
「でも、その路線は入る隙間はないでしょう」

マークスは首を横に振った。

「いや、ある」

ダニエルは自信ありげに葉巻に火をつけた。

「あの修道院のリキュールだ。非売品だしな。
それにオンナ受けする甘口で、王妃も密かに飲んでいるらしい。
冷え性に効くといってな」

そう言って薬草リキュールを手に取った。

「神の御許で造られたってとこがいい。高級イメージとつながる」

ダニエルは自分で言って、大きくうなずいた。

「今までは安酒で、手っ取り早く酔っぱらう・・・
武骨な野郎のための酒って路線で来ていたから、ここでロイヤルワラントを取って、うちのブランドと知名度を一気にあげたいしな」

マークスは首をひねり、反論した。

「でも、この酒はナイトキャップみたいなものですよ。
小さなグラスでちょっとしか飲まない。
あと、薬草臭くて、料理には合わない酒です」

「そうだ。これは料理には合わない。そこが問題なのだが・・・」
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