バッカスの女神様はオトコを知らない
ダニエルは腕組みをして、椅子の背もたれによりかかった。

「珍しい酒で、体に良いというのは、いいポイントをついていると思う。
だから1本は修道院のこれで勝負するが、もう1本は別のを考えなくちゃならんな」

「料理に合う酒、前菜、主菜、デザートに合うものですね?
そうすると、そこはやはりワインに軍配が上がるでしょうね」

マークスの意見にダニエルはふと思いついたように、顔を上げた。

「あの特異体質のシスターに、やらせてみるのはどうだろうか?」

マークスは苦笑いした。

「修道院の食事は質素を旨とする・・・ですよ。
晩餐会に提供するような料理に合う酒造りは、無理でしょう」

華やかで、きらびやかな世界で提供される酒。

確かにあの貧弱なシスター・ローズベリーとは結びつかない。

ダニエルは葉巻の火を押しつぶし、ため息をついた。

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