バッカスの女神様はオトコを知らない
デラシアは・・・戸惑いぎみに返事をした。

「あとジュリア、街の娘が着るような服を見繕ってやれ。
明日から王宮の厨房に出入りするからな。
このシスター姿では困る」

ジュリアは丁寧にダニエルに頭を下げ、デラシアを促した。

「わかりました。旦那様。それではご案内してもよろしいですか?」

「明日、9時に迎えにくる。用意をしておけ」

ダニエルは帽子とステッキを取り、大股で出ていった。

玄関ホールの中央に、2階に通じるらせんを描く階段。

大きな絵画が飾られ、高い天井には、クリスタルが雨粒のようにきらめくシャンデリア。

「すごいお屋敷ですね・・・」

「はい、王宮で国王や大臣に謁見されるお客様も、お泊りになりますので」

ジュリアはトントンと階段を上がっていく。

2階は4つの部屋があり、主人とその妻専用が1部屋ずつ、客用寝室が2つ。

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