バッカスの女神様はオトコを知らない
「まぁ、ここは交易の中心だからな。内陸と海と両方から物が来る。
王宮の厨房には、もっと珍しい食材も見られるぞ」

「ほんとですか?!」

くるりと振り返った顔、それはまるで、新種の昆虫を見つけたような子どもの笑顔と重なる。

「それは、すごく楽しみです!!」

へぇ、シスターもこんな顔もするんだ

ダニエルは感動というか、何か温かいものが流れる様に感じた。

「欲しいものがあれば、買ってやるぞ」

デラシアは考え込んだが、真面目な顔で答えた。

「修道院に寄付をお願いします」

その答えに、ダニエルは腹を抱えて笑った。

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