バッカスの女神様はオトコを知らない
「ささやかなものですが、ご結婚のお祝いの品をお贈りさせていただきます」

木箱から、慎重に瓶を取り出しテーブルの上に並べた。

「こちらのお酒は、私どもの修道院で造っている薬草リキュールです。
冷え性や血の道を改善する作用があるので、お嬢様がお飲みになるのがよろしいですね」

花嫁が微かにうなずいた。

この女子修道院は、古くから薬局が併設されている。

特に月経痛や出産後の不調、不正出血など婦人科系の症状に効くよう、いろいろなハーブを組み合わせた薬草リキュールをつくる。

その他、治療のため、シロップや軟膏、チンキなども処方していた。

「薬草リキュールは、毎晩寝る前に小さなグラスで一杯、お飲みください。
足先や指先の冷えが防ぐことができますし、よい眠りをもたらします」

デラシアは説明をしながら、花嫁をそっと見た。

頬とくちびるがピンクでかわいらしいが、緊張しているのがわかる。

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