バッカスの女神様はオトコを知らない
<宴は続く>

ダニエルは、猛烈に忙しくなった。

デラシアと顔を合わす事無く、各地を飛び回り、日々が過ぎて行った。

「修道院の裏に、新しい薬草リキュール専用の醸造所をつくります。
あと、地元の農家には、薬草の栽培に切り替えるよう、手配しました」

ダニエルの事務所で、マークスが設計図を机に広げ、デラシアに説明をしている。

「薬草は新鮮でなくてはいけないし、修道院の湧き水も、良質な酒を産みだすのです」

デラシアの言葉に、マークスがうなずいた。

「薬草リキュールはすごい件数で問い合わせが来ているのですが、
社長は量産すると価値が低くなると言っているので、シスターの管理できる範囲でやりましょう」

数を絞って、希少価値を上げる・・・ダニエルは商売人として優秀だ。

でも・・・薬草リキュールはし好品ではない。

医薬品として、必要な人に届けたいとデラシアは考えていた。
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