バッカスの女神様はオトコを知らない
<女神になるということ>

という訳で、数分後には料理長の家に、デラシアと奥さんはいた。

「ダンナと子どもたちは先に屋台を冷やかしに行ったから、気兼ねしないでね」

奥さんはいたずらっぽく笑った。

「女の子はみんな仮装するの。お姫様が定番かな。

私もうちの旦那と、この飲み放題イベントで出会ったのよ」

料理長の妻は、家族経営の小さなワイナリーの娘だと言った。

「あなたなら・・私の若い時のフェアリーのドレスがあるから、それを着てみたらどうかしら」

そう言って、クローゼットの奥をごそごそとひっくり返して、古ぼけた箱を取り出した。

「ああ、あった。これね」

箱を開けると、そこには薄紙に包まれた虹色に輝く、透き通った布地とスパンコールが輝く。

「アンダードレスがあるから、透けても大丈夫」

「はぁ・・・!」

無料で色々な酒を飲むためには、多少のリスクも受け入れよう。


「さぁ、ボディメイクするわよ。息を吸って・・・吐いてぇ」

デラシアの後ろで、ウェストニッパーのひもを、ぐぐぐっと引っ張った。


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