バッカスの女神様はオトコを知らない
ゲボッ

「奥様・・あんまり絞ると・・お酒が飲めないです」

デラシアがうめき声を上げると、

「みんな気絶寸前までがんばるのよ。女の子はキレイになるために努力をするの」

奥さんがやっと手を緩め、ひもをキュッと縛った。

次にフワッと、かげろうのような薄い羽のドレスが頭からかぶされた。

「ネックレスとか、髪飾りとか・・・どうしようかしら?」

「あの、私、何も持っていないので」

「そーねー、ちょっと待って?」

奥さんははさみを手に庭に向かった。

戻ってくるとかごには白い小花がたくさん入っている。

「花のフェアリー。髪につけるわ。あなたの黒髪はとてもきれいだから」

「さぁ、お化粧するわ。ここに座ってね」

奥さんは、人形で遊ぶ女の子のように楽しそうだ。

NOとは言えない・・・デラシアは言いなりになるしかない。

リビングのテーブルの上には、たくさんの化粧道具がパレットのように広げられた。


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