バッカスの女神様はオトコを知らない
「はい、完成。誰が見てもお花のフェアリー、とてもきれいよ」

奥さんは腰に手を当てて、満足そうにうなずいた。

鏡の中に、自分の知らない若い娘がいる。

しかも見たことのない胸の谷間までくっきりで、ウェストも信じられないくらい細い。

「そのっ・・胸と肩がむき出して・・・困るのですけど」

「ああ、ショールを羽織ればいいわ。そうすれば隠せるし」

困り顔のデラシアを見て、奥さんはショールを渡してくれた

「浮気する男はだめよ。誠実さが一番。うちの旦那はね、そこがよかった」

奥さんはのろけを言って、自分で笑っている。

何と答えればよいのだろうか?

この世界の男女の流儀はシラナイ・・・デラシアが口ごもっていると

「あなたも男と付き合うのなら、そこのところ見極めないとね」

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