バッカスの女神様はオトコを知らない
<フェアリーのシンデレラ>

城門の大きな跳ね橋付近には、若い男女がたむろっている。

城門の門番が立ち、女の子はフリーパスで通すが、男は止められて身分証を提示をしなくてはならない。

着飾ったお姫様集団の後ろに、デラシアもくっついて城内にすべりこんだ。

さて・・酒の提供は、どこかな?

デラシアが周囲を見回すと、1階ホールが全面開けはなたれ、巨大なバーカウンターが設置されている。

棚には酒瓶がずらりと並び、猫耳の男女がどれにしようか、楽しそうに選んでいる。

デラシアの番が来た。

「ほいっ、べっぴんのお嬢ちゃんの注文は?」

「ドン・ペリニョンでお願いします」

カウンター越しに、ウェイターたちの大笑いが起きた。

「ない、ない!!そんな高い酒を飲む奴もここにはいないがね!!」

修道院は自給自足が原則だ。

生まれた時から修道院で育ったデラシアは、酒の値段がよくわからない。

「そうなのですか・・・」

「それでは・・・シャルトリューズをお願いします」

ダニエルの貸してくれた専門書にあった飲んでみたいと思った、薬草リキュール。

シャルトリューズ

フランスの東南部の修道院で造られる秘伝のレシピの酒で、なんと薬草を130種類ほど使っている。

しかもアルコール度が55度ある。

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