バッカスの女神様はオトコを知らない
「お嬢ちゃん。悪いが、それもないな。今日置いてあるのはビールとかワインがほとんどなんだけど」

せっかくの飲み比べの機会なのに・・・

「それでは・・・フランジェリコはありますか?」

フランジェリコ

この酒は17世紀、イタリアのフランジェリコという僧が、山の中で野生のヘーゼルナッツで酒をつくったという伝説がある。

「ふーーん、リキュール類は店にはあるが、ここには持ってきてないな」

落胆をしているデラシアを見て、中年のベテランらしきウェイターが提案した。

「そうだ!お嬢ちゃん、それなら「法王のワイン」はどうかね。
法皇様もお飲みになる逸品だ」

デラシアの目が輝いた。

「ああ、それがいいです!!一瓶いただけますか?」

また、ウェイターたちの笑いが起きた

「ほう、お嬢ちゃん、瓶でいくのかね。豪快だね!!特別サービスだ。持っていきな」

「ありがとうございます」

瓶を受け取り、ショールで隠すように胸にだいた。

すぐに戻って、着替えたら、ゆっくり味わいたい。
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