バッカスの女神様はオトコを知らない
「まるで、プレゼントの箱に入っているお人形のようだな」

確かにデラシアは柱と柱の隙間に、すっぽりとはまっている状態になっている。

「ところで・・・シスター?なんでここにいるんだ?・・・」

これは・・・まずいだろ?

今日、この場所は、男兵士と女の子の出会いの場なのだ。

「お酒を飲むためです。女性は無料でいいと聞いたので」

ごまかしてもしかたがない。居直りあるべし。

くくくっ・・ダニエルが吹き出して笑っている。

「ああ、なるほどね。男が目的?ではないのか」

さすがに馬鹿にされたのを感じて、デラシアは「ふんっ」と鼻息を荒くした。

「ドン・ペリニョンというシャンパンを、飲んでみたかったのです。
造った修道士が「星を飲んでいるようだ」という有名な言葉を残した酒なので・・」

「ドン・ペリはさすがにここにはないだろう?」

ダニエルはまだ腹を押さえて笑っている。
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