バッカスの女神様はオトコを知らない
<デラシアの成育歴>

デラシアは赤ん坊のころ、この女子修道院の植え込みに捨てられていたところを保護された。

そこで祈り、学び、勤労する。厳しい戒律の中で育った。

清貧が当たり前であり、外の世界に触れる機会はほとんどない。

しかし、デラシアは特異な体質、性癖があった。

それは、酒に対して特別な耐性と、鑑別する能力があること。

デラシアは水かお茶を飲むように、酒を飲むことができ、しかも酔うことがない。

その能力を買われ、もの心つくと、修道院で造る薬草リキュールの製造に関わり、今は実質的な責任者だ。

デラシアが試飲をして「よい」と判断したものだけが、修道院の薬局に置かれる。

修道院でつくる酒は医薬品のため、市井に流通されていない。

仕事として、毎日薬草リキュール酒を飲み、品質を鑑別する。

酔う事もなく、日々の日課を淡々とこなす。
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