バッカスの女神様はオトコを知らない
デラシアの脳裏に、あの幼さの残るオレンジフラワーの花嫁の姿がかすめた。

彼女は幸せなのだろうか・・・

幸せは、自分でつかみとって、初めて感じるものなのだろう。

誰かに与えられるものではない。

デラシアの指先がダニエルの右手、火傷の跡にそっと触れた。

「親指の動きが悪くならないように、毎日オイルマッサージするといいのですが」

ダニエルが見上げると、デラシアの視線はワインに向かっている。

「今ここに、法王様のワインがあるから、きっと神様があなたを・・・私の元に・・・」

その言葉を聞いて、ダニエルはデラシアの指先に唇をつけた。

「それでは、明日はベネディクチンを飲もう。
これも有名な修道院の薬草リキュールだ。
ハネムーンというカクテルに使う」

そう言い終わると、デラシアは抱きしめられ、キスの雨が降り注いだ。


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