【完全版】不遇な令嬢は次期組長の秘めたる溺愛に絡め取られる。


「情報ってのは強い武器になる。人脈ってやつもかなり大事だ。俺はカタギに溶け込み、様々な情報を集めてる。だからこそ吉野和仁の嫁がお前だってことに辿り着けたんだよ、ジェシカ」
「どうして和仁さんを狙うの?」
「桜花組次期組長の(タマ)取ったら俺が跡取りになれるかもしれねぇだろ?」


 私利私欲にまみれた冷酷な笑みを浮かべる彪冴くんに、はっきり言って愕然とした。

 あの優しかった彪冴くんは全部嘘だったの……?

 誰にでも優しくていつも人の中心にいた彪冴くん。
 明るくて面白くて、私みたいな人とも仲良くしてくれていたのに。

 全部嘘だったというの?


「私をどうする気……?」
「お前を人質にして吉野のドタマブチ抜こうと思ってたんだけど、そうだなぁ。俺の嫁にしてやってもいいよ」
「な、何を言ってるの……?」


 思わずゾッとして、鳥肌が立った。


「極道の嫁になるってことは鬼畜な男が好きってことだろ? 俺とかピッタリじゃね?」
「……! いや……」
「大学の時からジェシカとはヤってみたいと思ってたんだぁ。その白い肌を赤く染めたらどうなるのかなって」

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