【完全版】不遇な令嬢は次期組長の秘めたる溺愛に絡め取られる。


 何が起きているのかわからず、戸惑いと恐怖が隠せない。
 自分はどうなってしまうのだろうと思ったらグイッと肩を引き寄せられた。

 その手に恐怖心は感じなかった。


「!! 和仁さん……っ」


 私の肩を抱き寄せ、視線と銃口は彪冴に向ける和仁さん。
 和仁さんが来てくれた安心感で一気に力が抜けそうになる私の体をしっかりと支えてくれる。

 私はぎゅっと和仁さんにしがみついた。
 ちゃんと見てないけどチラリと見えた和仁さんの表情は、怒りが滲み出ていた。


「吉野和仁……なんでここに!? 俺の部下が総出でテメェを……っ」


 腕を押さえたまま焦った表情で和仁を睨みつける彪冴くん。


「あの雑魚どもか? 全員倒したが?」
「あの人数を……!?」
「そんなことより、俺の妻を泣かせた落とし前はどう付けるんだ……?」


 低い声だけでも激しい怒りを感じ取れた。


「……!!」


 彪冴くんは和仁さんのオーラに圧倒されているけど、歯を噛み締めてもう一丁の拳銃を構える。

 ベルトにもう一丁ぶら下げていたらしい。


「そんなん知るか!! 夫婦であの世に送ってやるよ!!」
「……!」

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