【完全版】不遇な令嬢は次期組長の秘めたる溺愛に絡め取られる。


 怖くて怖くて仕方なかった。
 和仁さんの腕の中で、ようやく安心して涙が流せる。


「よかった、無事でよかった……!」
「こわかった……っ」
「もう大丈夫だ……」


 和仁さんが極道でも人殺しだったとしても、私を思い心から大切にしてくれている。
 何があっても絶対に駆けつけて守ってくれる。

 号泣しながら震える私が落ち着くまで、ずっと抱きしめてくれた。


* * *


 数日後。
「指定暴力団梅堂組解体」というニュースが報道され、新聞の見出しを飾る。

 あの後桜花組は本格的に梅堂組を潰し、解体となった。
 和仁さんを撃った人物も梅堂組の者だった。

 ここ最近で動きが派手になり、梅堂組を潰すべくずっと動いていたのだそうだ。
 そんな時、まさかの私が和仁さんの妻だと知られてしまい、今回のことが起きてしまった。

 彪冴くんを始めとする梅堂組の幹部は全員逮捕された。
 何故かはわからないけど、桜花組は一切関わっていないことになっていた。
 そういうものなのだそうだ。


「俺たちも表向きはヤクザっすからね。だから世間には知られず警察の影となって動く、そういうものなんすよ」

< 107 / 173 >

この作品をシェア

pagetop