【完全版】不遇な令嬢は次期組長の秘めたる溺愛に絡め取られる。


「捨てようと思ったけど、この子に罪はなく一生懸命生きてるだけなのにって思うと……捨てられなくて」
「植物も生き物だもんな」
「あ、でも和仁さんは嫌ですよね……捨てます」
「君が捨てたくないなら捨てなくていい。ただ寝室には置きたくないな」
「じゃあ私の部屋に置きますね」


 ふふっと微笑む私を和仁さんは引き寄せて抱きしめる。


「俺と結婚していなければこんなことにはならなかったのに、すまない」
「和仁さん……私の方こそ。私がいたからこんなことになってしまったんですよね」


 私が彪冴くんと知り合いだからバレて、騙されたからこんな事態を招いてしまった。


「違う、ジェシカは何も悪くない」


 和仁さんは抱きしめる力を強めた。


「本当は君を極道の(この)世界から引き離すべきなんだと思う。カタギの世界で生きるのが君のためなんだとわかっている。それでも、もう君を手放すことはできない」
「離さないで……っ」


 確かに怖かった。もう死ぬかと思った。
 桜花組組長の妻である限り、また似たようなことが起きるのかもしれない。

 それでも私は、


「私も和仁さんと離れたくない」

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