【完全版】不遇な令嬢は次期組長の秘めたる溺愛に絡め取られる。


 もうあなたなしでは生きていけない。
 あなたと離れることの方が怖い。


「ジェシカ、何があっても俺が君を守り抜く。だからこれからも俺の傍にいてくれないか」
「はい……」


 和仁さんは少し安堵したような表情で微笑むと、触れるだけの口付けをした。
 すぐに唇が離れたけど、今度は私から唇を重ねる。

 段々と濃く深く交わり、押し倒されてここが回廊だったと気づく。


「誰かに見られるかも……!」
「誰も来ない。今は全員出払ってる」
「そ、そうなんですか?」


 もしかして和仁さん、みんなのこと追い出したりはしてないわよね……?


「ジェシカ、旅行に行かないか?」
「旅行?」
「新婚旅行に行っていないだろう。温泉にでも入ってゆっくりしないか」
「! 行きたいです!」
「二泊三日でどうだ?」
「そんなに休めるんですか?」
「たまにはいいだろ」
「嬉しいです……!」


 まさか新婚旅行に行けるなんて!
 すごく嬉しい!


「どこに行きたい?」
「和仁さんと一緒ならどこでもいいです!」
「そうか……まあゆっくり考えよう」
「はい!」
「……それと、君に話したいことがある」
「!」


 話したいことって、もしかして――。


「聞いてくれるか?」
「もちろんです」
「ありがとう」


 そう言って私の額にキスを落とした。

 もう私は何を聞いても受け止める覚悟はできている。
 どんな話を聞かされても、この想いは揺るがない自信がある。

 私も和仁さんを守りたい、支えになりたい。
 そのためには自分も強くなりたい。

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