【完全版】不遇な令嬢は次期組長の秘めたる溺愛に絡め取られる。
最近ぼうっとしていていつも心ここに在らずといった感じで心配していたら、偶然彼女がドラッグを持っているのを見てしまった。
そこで問い質し、あの漫喫でドラッグを買っていることを聞かされた。
やめるように説得したが、漫喫の会員証を作る際に生徒手帳のコピーを渡したことで個人情報を握られてしまっている。
何かあれば家族や学校にバラすと脅されていたらしい。
更に薬の中毒性に完全に溺れ、やめられなくなってしまっていた。
「だから、私が生徒手帳のコピーを取り返そうと思ってあそこにいたの」
「なんで組の者に相談しなかった?」
「だって、私だって役に立てるって証明したかったから!」
「危険すぎるだろう! 万が一のことを考えなかったのか」
「……お姉ちゃんにもすごく怒られた」
美桜は悲しそうに目を伏せる。
「私ね、組の中では何もさせてもらえないの。いつも守られてばっかり。お姉ちゃんは組の仕事をしてるのに」
「……あんたもやりたいのか? 極道だぞ?」
「それでも私は染井一家を誇りに思ってる。だから私も役に立ちたいって思うけど、子どもの頃は体が弱くて入院しがちで……だから未だに何もさせてもらえない。お姉ちゃんが全部やっちゃうの」
だから染井美咲に妹がいると聞いたことがなかったのか。
表舞台に現れるのは常に美咲だった。