【完全版】不遇な令嬢は次期組長の秘めたる溺愛に絡め取られる。


 和仁さんが帰宅するだけで嬉しくなってしまう。

 やっぱり何度見ても和仁さんの顔ってタイプだわ。スーツ姿もカッコいい……。


「どうした?」
「え?」
「じっと見るから」
「あっいえ……」


 和仁さんに見惚れていたなんて言えない……!


「ん? 花?」
「あ、今日買って来たんです。綺麗でしょう?」
「ああ、そうだな……」


 あら? 和仁さん、微妙な感じ?
 もしかして、勝手に部屋に入ったことを怒っているとか!?


「ごめんなさい! 迷惑でした?」
「え?」
「お花があったら華やかになるかなって思ったんですけど、勝手なことしてごめんなさい……」
「いや、別に構わないが」
「怒ってないの……?」
「それくらいで怒ったりしない。いいな、花があるのも」


 花を見つめる優しげな横顔に思わずドキッとしてしまう。

 やっぱり和仁さんって、極道とは思えない程素敵……。
 必要最低限の会話しかしないけど、私が生活しやすいようにすると言ってくれたことは守ってくれている。

 それに舎弟の皆さんと接していると、和仁さんがどれだけ慕われているかよくわかる。

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