【完全版】不遇な令嬢は次期組長の秘めたる溺愛に絡め取られる。
あら? そういえば予定日はとっくに過ぎてるのにまだきてない……。
「えっと、一ヶ月きてないかもしれないです……」
「今日みたいな吐き気は?」
「吐き気はないけど、最近なんだか眠くて」
「ちょっと待ってて、ドラッグストア行ってくる」
「えっ!?」
雅さんはドレスショップを抜け出し、近くのドラッグストアまで走って行った。
あっという間に帰って来たと思ったら、その手には妊娠検査薬が。
「はい、これ」
「え、あ、はい」
そのままトイレに押し込まれる。
ドキドキしながら判定を待てば、一本線が表れた。
「!! み、雅さん……!」
「やっぱり!!」
「ど、どうしましょう……!」
「今すぐ病院に行くわよ!!」
ドレス選びを中止し、雅さんが車を出してくれてすぐに産婦人科に向かうことに。
車の中で和仁さんにメッセージを打った。一応妊娠検査薬の写真も添付した。
「和仁は今日どこにいるの?」
「今日は他支部との会合だって」
「そんなもん放り投げてこいって言いなさい!」
「ええ、でも……」
会議中は携帯の電源は切ると言っていたし、もう始まっていたら気づかないかもしれない。
そう思っていたら和仁さんから電話がかかってきた。
「もしもし?」
《ジェシカ、今どこにいる?》
「雅さんの車で病院に向かってます」
《わかった、俺もこれから追いかける》