【完全版】不遇な令嬢は次期組長の秘めたる溺愛に絡め取られる。
「でも会合は大丈夫なんですか?」
《そんなものどうとでもなる。雅に代わってくれ》
「ええ? はい」
雅さんは運転中なので私が雅さんの耳元に携帯を当てた。
「何!? そんなのわかってるわよ!」
和仁さん、何を言ったのかしら……?
「くれぐれも丁重に安全運転で行けって。わかってるっつーの!」
「何だかごめんなさい……」
とにかく病院に着いて診察を受け、妊娠四週目であることが発覚。
私のお腹には、和仁さんとの赤ちゃんがいるんだ……。
どうしよう、まだ全然実感が湧かない。
「――ジェシカ!!」
「和仁さん……!」
診察室から出ると、待合室で和仁さんが待っていた。
和仁さんは私を見るなり、すぐに立ち上がって駆け寄る。
「どうだった!?」
「妊娠してました」
「本当か!?」
「はい……!」
和仁さんはぎゅっと私を引き寄せて抱きしめる。
走って来てくれたのか、少し汗ばんでいた。
すごく急いで駆け付けてくれたのね……。
「何と言えばいいのかわからないが……ありがとう」
「!」
「すごく嬉しい……」
「和仁さん……」
和仁さんがそう言ってくれて、目頭が熱くなった。
そしてじわりじわりと胸が温かくなると共に、新しい命が宿ったという喜びが生まれる。
「――あのお二人さん、ここ一応病院ですからね?」
峰さんの言葉でハッとした。