【完全版】不遇な令嬢は次期組長の秘めたる溺愛に絡め取られる。
「面白いこと言うなって笑われたけどね。全く本気にされてなくて悔しかったなぁ」
「でも、振り向かせられたんですね?」
「そうよ」
お茶目にウインクする蘭さんがとっても魅力的だった。
カッコいいなぁ、蘭さん。
私はそんな風に積極的になれる自信がないから、憧れちゃう。
「私はジェシカさんもすごいと思うけど。うちの人もよく言ってるの、和仁はジェシカさんと結婚して変わったって」
「あ……それ峰さんにも言われました」
「和仁さんも色々あったけど、ジェシカさんと出会って今は幸せなんでしょうね」
「そうだったら、嬉しいです」
「絶対そうよ」
そう言って微笑む蘭さんに、私も微笑み返した。
その後も女子会は続き、これからのマタニティライフのアドバイスも沢山もらって、とても充実した時間をすごせた。
* * *
妊娠したことを父には電話で報告した。
父は私の妊娠をとても喜んでくれた。
「お父さん、今とても幸せだから心配しないでね。結婚して心から良かったと思ってる」
《ジェシカ……ありがとう。苦労ばかりかけて、父親らしいことは何もできずにすまなかった》
電話越しでお父さんは涙声だった。
《辛い目に遭わせてばかりで本当に申し訳ない》
「大丈夫よ。無事に産まれたら会いに行くね」
《ありがとう。体に気をつけて、何かあればいつでも連絡して欲しい》