【完全版】不遇な令嬢は次期組長の秘めたる溺愛に絡め取られる。


 結婚して一ヶ月、ガーデニングにはすっかりハマり、今はミニトマトの栽培を始めてみた。
 最近はみんなにお願いして、少しだけでも家事を手伝わせてもらえることになり、毎日が充実している。

 特に和仁さんの食事は私が作らせてもらうことにした。
 少しくらい妻らしいことがしてみたくて。

 たまには和仁さんとテーブルを囲んで食事することもある。
 和仁さんは常に無口で無表情だけど、私の料理は何でも全部食べてくれた。それが結構嬉しい。

 相変わらず会話は少ないけど、最近何となく無表情な和仁さんのことがわかるようになってきた。


「和仁さんの料理にはグリーンピース抜いておきました」
「え?」
「うふふ、苦手なのでしょう?」


 グリーンピースだけ綺麗に弾いて食べるお茶目な一面もあって、そこがまた私のツボをくすぐる。


「……別に」


 照れ臭い時、すぐに目を逸らして耳がほんのり赤くなるのもかわいい。
 こういう和仁さんの新たな一面を知る度、キュンとしてしまう。


「君はよく俺の顔を見ているな」
「あっ、ごめんなさい」


 ジロジロ見過ぎだったかしら?


「何か言いたいことがあるのなら聞こう」


 和仁さんは一旦箸を置き、真っ直ぐ私を見つめる。
 
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