【完全版】不遇な令嬢は次期組長の秘めたる溺愛に絡め取られる。
食べてないから力が入らないし、寒気もする。
この状態って大丈夫なのかしら? 病院に行った方がいい?
携帯を見ると、時計は深夜一時と表示されていた。
メッセージの受信がある。
「あ、和仁さんからだ……気づいてなかった」
横になりながら携帯をいじり、和仁さんからのメッセージを開く。
「大丈夫か? 傍にいれなくてすまない」
その一言だけで視界が歪み、気付いたら泣きながら電話をかけていた。
ツー、ツーという音と共に留守電になってしまう。
やっぱりこの時間は寝てるわよね……。
「うっ、和仁さん……っ」
お願い、早く帰ってきて――……っ!!
もう私の体も心も限界だった。
「!! 姐さんっ!? しっかりしてください!! おーいっ、誰か来てくれ!!」
翌朝、私の様子を見に来た千原さんが大声で叫ぶ声が遠くから聞こえた。
私の意識はぼんやりとしていて、体を動かすことも声を出すこともできなくて。
次に目覚めた時には白いベッドの上にいた。
「あっジェシカさん! 気がついたのね」
「お義母様……」
お義母様は私の顔を心配そうに覗き込んでいた。
「病院で点滴を打ってもらってるところよ」
「あ……」
そうだ、起き上がろうとしたけど体に全然力が入らなくて……。