【完全版】不遇な令嬢は次期組長の秘めたる溺愛に絡め取られる。
「つわりが酷くて水も飲めてなかったみたいで、点滴打ってもらっていたところよ。ジェシカさんが目を覚まして落ち着いたら内診してもらうことになってるの」
「そうか……」
「あなたこそ大丈夫なの? 血だらけじゃない!」
「これは俺の血じゃない」
ええ!? それは誰の血なの!?
「……和仁は一度着替えてきなさい。こんな姿を病院の人に見られたらマズイでしょう」
「もう遅いと思いますよ、女将さん」
そこへ替えのスーツを持った峰さんが病室に入ってきた。
走って追いかけてきたのか、峰さんも肩で息をしていた。
「飛行機からこのままでしたから。一応替えのスーツは持ってきましたけどね」
「すまん、助かる」
「相当無茶をしたのね……」
お義母様はやれやれというように額に手を当てる。
私は涙が枯れるとともに段々と眠くなってきた。
「和仁さん……眠くなってきました」
「そうか、ゆっくり休むといい」
「寝てる間も傍にいてくれますか?」
「ああ、ずっといる」
和仁さんの言葉に安心して、私は久しぶりに爆睡した。
目が覚めると体がすごく楽になっていた。
医師の内診で赤ちゃんは元気に育っていることがわかり、改めてホッとする。
赤ちゃんは強い子なんだ。
私も頑張らないと……!