【完全版】不遇な令嬢は次期組長の秘めたる溺愛に絡め取られる。
「ジェシカさん!」
「あっ蘭さん! お花ありがとうございます! お家だけでなくこんなに綺麗なお花まで……!」
「久々に思いっきり花を生けられるから張り切っちゃった。はい、ブーケよ」
「かわい〜〜!」
桜の花がメインとなり、白や薄桃色の可愛らしいブーケとなっている。
「冬にも咲く冬桜や十月桜を使ってみたの。かわいいでしょ?」
「はい! ありがとうございます!」
お花はどれも好きだけど、やっぱり桜の花は特別だ。だって桜花組の花だものね。
そして終わった後にブーケは雅さんにもらってもらうことにした。
ブーケトスとは違うけど、雅さんの恋愛成就を祈って。
赤面して照れていた雅さん、かわいかったなぁ。
「はっはっはっ、似合ってるじゃないか和仁」
「……なんでお前までいるんだ」
「うちの別邸だからな」
信士さんは愛娘の八重ちゃんを抱っこしていた。
「ジェシカさんもよくお似合いです。そういえば女の子だそうですね」
「ありがとうございます。そうなんです、この前の検診でわかって」
そう、お腹の子は女の子だった。
「うちの八重と一緒に遊べますね! 娘はいいですよ! うちの子なんて正に姫だ!」
「この親バカが」
「今にお前も同じことになるぞ、和仁」
「……」
ふふっ、親バカになる和仁さんを想像して思わず笑ってしまった。
でも案外親バカになるかもしれないわね。
「そろそろ撮影を始めましょう」
「はい、よろしくお願いします」