【完全版】不遇な令嬢は次期組長の秘めたる溺愛に絡め取られる。


 私たちの愛娘、鏡花ちゃんは二歳になったばかり。

 色白の肌、色素薄めのふわふわの髪にグレーの瞳というまごうことなき天使に成長した。
 毎日成長していて発見の毎日だ。

 組の中ではお嬢と呼ばれ、みんなにもかわいがってもらっている。

 今は二泊三日の家族旅行でハイキングに来ているところ。
 お天気が良くて気持ちが良い。

 お弁当も張り切っていっぱい作ってしまった。


「鏡花ちゃん、まだ歩けるの?」
「あるける」
「すごい! 偉いわ、鏡花ちゃん」


 お義母様が手作りしてくれたうさぎさんのリュックを背負い、よちよち歩く鏡花ちゃん。
 後ろ姿もかわいい。


「鏡花、パパと手繋ぐぞ」


 和仁さんが手を差し伸べるときゅっと握りしめるところもかわいい。
 なんていうか、推しと推しのコラボを見ているような気持ちだわ……。


「えっ、あのお父さん超イケメン」
「そうなの? 娘さんしか見てなかった。おめめがすごく綺麗だった」


 すれ違うハイキング客がそんな風に囁いていた。

 そうなんです!
 うちの旦那と娘、最高なんです!!

 もう写真を撮る手が止まらない。


「……ジェシカ、何してる?」

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