【完全版】不遇な令嬢は次期組長の秘めたる溺愛に絡め取られる。
今の空気に流されたら、この後お義父様たちと顔が合わせにくい……!!
これから食事もあるんだしっ。
「だから、あの……もっと夜に」
「ふっ」
「なんで笑うんですか!?」
「いや、かわいいなと思って」
「〜〜っ、からかってませんか?」
「まさか」
和仁さんの楽しそうな笑顔が好きだなぁと思ってしまう。
結局何をしていても「好き」の一言に尽きてしまう。
十年先でも二十年先でも、きっと変わらない。
「和仁さん」
「ん?」
「今夜は、恋人同士でいたいです」
「……寝かせてやれないかもしれないな」
「大丈夫です! 頑張って起きます!」
「寝かせられないと言ってるのに」
え、つまりそれって……一晩中ってこと?
流石にそれはちょっと……。
一人で戸惑っている私を見て微笑みながら、和仁さんは触れるだけの口付けを落とす。
「ジェシカ、愛してる」
「っ、私も……」
あの時、父に懇願されて結婚した私の選択は間違いではなかった。
どんな形であれ、この出会いは奇跡であり運命だった。
天国のマムに胸を張って言えるわ。
私は今とっても幸せよ、って。
「ぱぱー、ままー」
「えっ……鏡花?」
「鏡花ちゃん!? どうしたの?」
「やっぱりぱぱとままがいい〜」
そう言ってべそをかく鏡花ちゃん。
結局恋人同士の夜はお預けになってしまったけれど、それですら愛おしくて幸せだと思ってしまう。
この幸せはこれからも永遠に続いていく。
そしていつの日か、鏡花ちゃんにも心から好きだと思える人が現れますように。
それまではパパとママだけの鏡花ちゃんでいてね。
fin.