【完全版】不遇な令嬢は次期組長の秘めたる溺愛に絡め取られる。
「効かなくなってはいけないのですか?」
「言っただろう、君を傷つけたくない」
「和仁さん、私をワレモノか何かだと思ってません?」
私は和仁さんの手を握り、そっと自分の頬に当てる。
「受け止めますよ。だって私、和仁さんの妻ですから」
「ジェシカ……」
再び角度を変え、唇が重なり合う。
彼の舌が私の唇をなぞり、思わず口を開けるとすぐに隙間から挿し入れられる。
「んっ、ふ……っ」
漏れ出る息ごと絡め取られ、酸欠になりそうになりながらそれでも矢継ぎ早に降り注ぐ口付けから逃れられない。
いつの間にか自分から舌を絡ませようと求めていた。
もう何も考えられない。
目の前の和仁さんのことしか見えない。
唇がふやけそうになるくらいとろとろにされた私は、ひょいっと軽々しく抱きかかえられ、優しくベッドに寝かせされた。
和仁さんは私の上に覆い被さり、視線が絡み合う。
「和仁さん……」
この先の展開を想像できないような子どもではない。
もう大人だし、口付けを交わした時からこうなることは何となくわかっていた。
「好きだ」
和仁さんは優しく私の頬を撫で、私の目を見てはっきりと告げてくれた。
「誰も愛さない、愛したくないと思っていたのに……気づいたら君が好きで、愛おしくてたまらなかった」
「私も好きです……和仁さんのこと」
「ジェシカ……」