【完全版】不遇な令嬢は次期組長の秘めたる溺愛に絡め取られる。
「雅、いい加減にジェシカを解放しないか」
「何よ、まだまだジェシカと話し足りないの」
「何だって?」
「雅さんとお友達になりました」
そう言うと和仁さんはかなり驚いていた。
私と雅さんはお互いに顔を見合わせて笑う。
「いつの間に……」
「まだまだ女子同士で語らいたいことがあるんだから」
「和仁さん、私も雅さんともっとお話したいです」
「……、わかった」
やや肩を竦めて溜息をつきながら和仁さんは出て行った。
その直後、雅さんが私に囁く。
「和仁ったら、よっぽど悔しいのね」
「悔しい?」
「私にジェシカを取られたのが悔しいのよ」
それって、ヤキモチ妬いてくれてるってこと?
和仁さん、ヤキモチとか妬かない人だと思っていたのに、嬉しいな……。
だって私もちょっぴり妬いていたの。
和仁さんと雅さん、昔から仲が良くて気心知れた仲なんだろうなって。
そのことを和仁さんに話したら、その夜今以上にキスマークをつけられて立てなくされてしまい、ほんの少しだけ後悔した。