【完全版】不遇な令嬢は次期組長の秘めたる溺愛に絡め取られる。


 和仁さんのご友人!
 私は慌てて車から降りて挨拶した。


「初めまして、妻のジェシカです」
「ジェシカさん! ずっとご挨拶したいと思っていたのに、和仁のやつがなかなか紹介してくれなくてね。お会いできて光栄です」
「こ、こちらこそ」


 改めて相対すると、スーツの上からでもがっしりとした体型であることがわかる。
 太い眉毛が凛々しく、彫りの深い顔立ちだ。
 とっても明るく朗らかでいい人そう。


「私の妻も会いたがっているんです。妻の実家の華道教室に通ってくださっているそうですね」
「えっ、そうなのですか? 今もこれから向かうところだったんです」
「そうでしたか! ではこのままお送りしますよ。妻にも会ってやってください」


 そう言うと信士さんは、自分の車に乗せようとするので笹部さんが慌てて止める。


「信士さん! 困ります!」
「あ、笹部くん。私の代わりに事情聴取を頼むよ。部下には言っておくから」
「えっ!?」
「さあジェシカさん、こちらへどうぞ」
「えっ、えっ」


 言われるがまま車に乗せられ、あっという間に車は発車する。
 笹部さんのこと置いて行って大丈夫なのかしら?

 それにしてもこの車、リムジンじゃない……。
 車内は驚く程広くてソファもふかふかだ。
 どうやら別で運転手が付いているようだし、信士さんってとてもお金持ち……?

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