【完全版】不遇な令嬢は次期組長の秘めたる溺愛に絡め取られる。
「とても美味しいです!」
「よかった、お口に合って」
本当にどれも食べたことのない味ですごく美味しい。
専属のシェフがいて毎日こんなに豪華なお料理を召し上がっているなんて、流石だわ。
「和仁はどうですか? 無愛想で取っ付きづらいやつでしょう?」
「おい」
「いつもすごく優しいですよ。ちょっと過保護なところもあるくらいで」
「過保護? 和仁がですか?」
「はい、私の外出時は必ず送り迎えをしたりとか……」
「……君の立場を考えたら、当然だ」
――あ、そうか……。
私も桜花組を支える立場として自覚しなきゃいけないんだ。
私はまだまだ心構えができていないのかもしれない。だから和仁さんは余計に心配して私に話してくれないのかも。
「和仁さん、私もっと頑張りますね!」
「は?」
「あっはっはっ! 面白い方ですね、ジェシカさん!」
信士さんは声をあげて笑う。
「あなたなら和仁を任せられる。これからもよろしくお願いします」
「は、はい……」
何だかよくわからないが、気に入ってもらえたのかな?
食事を終え、和仁さんと信士さんは話があるそうなので(恐らく仕事関係の話だろうと思った)私は蘭さんにお屋敷の中を案内してもらうことになった。
どの部屋も天井が高くて広々しているし、各所に美しい花が生けられているのが空間に華やかさを与えている。
「これ、全部蘭さんの作品なんですか?」
「ええ、この家の花は全て私が手掛けているんです」
「すごい! どれも素敵ですね!」
「ありがとう」