【完全版】不遇な令嬢は次期組長の秘めたる溺愛に絡め取られる。
彪冴くんは一瞬固まったように見えたけど、すぐに笑顔になった。
「……へぇ。そっか! いいじゃん! あっ、このサボテンはジェシカの結婚祝いってことでプレゼントするよ」
サボテンを持ち上げ、レジに向かおうとする彪冴くんを慌てて止める。
「えっいいのに!」
「いーじゃん、せっかくなら祝わせろって!」
そのままレジに持って行き、袋に入ったサボテンを差し出す。
「改めておめでとう」
「ありがとう、彪冴くん」
「俺もサボテンとか観葉植物好きなんだ。今度見せてやるよ」
「楽しみにしてる」
「それじゃあまたな!」
彪冴くんはヒラヒラと手を振って帰って行った。
* * *
自室はそれぞれだけど寝室は一緒にすることになり、最近お部屋の模様替えをしたばかり。
と言っても別の部屋に和仁さんのキングサイズのベッドを移動しただけだけど。
ベッド横のサイドテーブルにもらったサボテンを飾ってみる。
うん、やっぱりかわいい。
「和仁さん、今日は遅いのよね」
一人で寝るには広すぎるベッドに寝転がり、サイドテーブルに置いたサボテンを手に取ってゴロゴロしながらサボテンを見つめる。
「このサボテン和仁さんに見せたいなぁ」